一の鳥居から大神神社へ
大神神社へお参りになるなら、少し遠回りをして、昔からの参拝道を歩いてみることをお勧めします。
まず、祓戸大神をお祀りする綱越神社へお参りし、一の鳥居をくぐります。
そこから、「松之馬場」と呼ばれる参道を、三輪山に向かって歩きます。
二の鳥居をくぐり、手水で身を清め、石段を上り、注連鳥居を経て拝殿へ。
車や電車を降りて、すぐに神前へ向かうのではなく、三輪のまちから一歩ずつ三輪山へ近づいていく。
昔からのお参りの道を歩いてみましょう。
江戸時代の人が見た三輪

江戸時代の『大和名所圖會』には、三輪の風景が4ページにわたって大きく描かれています。
右には、三輪山。そのふもとに三輪社(現在の大神神社)があり、そこから西へ松並木の参道が長く延びています。
さらに一の鳥居、三輪のまち並み、そして大和盆地へと風景が続いていきます。
現在では家々が建ち、道路も整備されましたが、松並木の道は姿を変えつつ今も残っています。この絵に描かれた道を歩いてみましょう。
お参りの道
JR三輪駅または大神神社駐車場
↓
綱越神社
↓
一の鳥居
↓
松之馬場
↓
二の鳥居
↓
手水舎
↓
注連鳥居
↓
拝殿
急がず歩いてみてください。この道の先には、いつも三輪山があります。
① 綱越神社 ― まず、祓う

三輪山へ向かう前に、まず綱越神社へ。
綱越神社は「おんぱらさん」と呼ばれ、祓戸大神をお祀りしています。「おんぱら」とは「御祓(おはらい)」が転じたものともいわれます。
大神神社へ向かう前にここへお参りし、心身を清めて参道へ向かいましょう。
ここから、お参りが始まります。
② 一の鳥居 ― 三輪山への入口

綱越神社から進むと、一の鳥居があります。現在、大神神社へ向かうときに目印となる巨大な「大鳥居」とは別の鳥居です。
ここから「松之馬場」へ入ります。しばらく松並木を歩いていると、目指す三輪山が見えてきます。
③ 松之馬場 ― 三輪山へ歩く

『大和名所圖會』を見ると、大神神社から西へ長い松並木が続いています。ここが「松之馬場」です。
現在の松の馬場にも松並木が残り、かつての参道の面影を伝えています。昔の絵を頭に置いて歩いてみると、今のまちの見え方も少し変わってきます。


家々の建ち並ぶ道の向こうには、江戸時代の人々が見ていたのと同じ三輪山があります。昔の松の馬場の風景を重ねながら、山へ向かって歩いてみてください。
④ 二の鳥居 ― さらに神域へ

松之馬場を進むと、二の鳥居に着きます。ここから気配が大きく変わります。
まちの道から、杉の木立に囲まれた境内へ。鳥居をくぐり、三輪山の森の神気を感じながら、さらに神前へ向かいます。
⑤ 身を清める


神前へ進む前に、手水舎で手と口を清めます。
綱越神社で祓戸大神にお参りするところから始まった道のりも、いよいよ神前に近づいてきました。ここから先は、静けさを感じながら進みましょう。
⑥ 注連鳥居 ― 拝殿へ


石段を上り、注連鳥居をくぐると、大きな杉木立に囲まれた斎庭と拝殿です。拝殿の前にたたずむと、三輪山の懐に抱かれる心地がします。
一の鳥居から歩いてきた人にとって、ここは単なる「目的地」ではありません。三輪のまちから、三輪山を仰ぎながら少しずつ近づいてきた、その道の終着点です。
⑦ 三輪山を拝む

綱越神社から始まり、
祓い、
鳥居をくぐり、
三輪山に向かって歩き、
身を清め、
神前へ。
大神神社には本殿がなく、拝殿の向こうにある三輪山をご神体として仰ぎます。拝殿奥に隠れた三ツ鳥居。その背後に鎮まる三輪山を感じて拝します。
大神神社へのお参りは、拝殿に着いて拝むことだけではありません。三輪山に向かって歩き始め、一歩ずつ神の懐へ近づいていく。その歩みこそがお参りそのものだということを味わってください。
昔の道は、今も歩けます

二百年以上前、『大和名所圖會』に描かれた三輪のまちの姿は大きく変わりました。
けれども三輪山は、変わらずにそこにあります。松之馬場には松並木が残り、山へ向かう道もまた、今に続いています。
せっかく三輪へお越しになったのなら、少しだけ時間をとり、同じ三輪山を見ながら、昔の人々が歩いた道を歩いてみてください。
ようお参りです。
