第1話 さきみたま くしみたま

幸魂奇魂 三輪をつむぐ100のお話
幸魂奇魂 ムスビの御神像

むかし、大国主さまが、あしはらのなかつ国(日本の国)をおつくりになっていたとき、それを助け、力を合わせていた少彦名(すくなひこな)さまが常世の国(海のかなた)にさってしまわれました。

大国主さまが「これから先、国づくりはどうしたらいいのか」となげいておられますと、かなたから海をてらして神々しい光が近づいてきました。大国主さまはその光にたずねます。あなたはどなたさまですかと。すると、「われはなんじのさきみたまくしみたまである。大和のあおがきの東の山の上にわれをいつきまつれば、なんじとともに国づくりをなしとげよう」とおっしゃいました。

大国主さまが、さきみたまくしみたまを三輪山におまつりすると、土がみるみるうるおい、食べ物がゆたかに実るようになって、大国主さまは国づくりをなしとげられました。

この三輪山にしずまります大国主さまのさきみたまくしみたまを大物主さまともうしあげます。


出雲(島根県)にお祀りされる国造りの神、大国主命は、強力な相棒であった少彦名命を国造りの途中で失い、絶望の淵に立ちます。その時、大国主命が出会ったのは、それまでに気づかなかったもう一人の自分である幸魂奇魂です。幸魂は人に幸いをもたらす働き、奇魂は物事を成す秘めた働きで、二つを合わせて和魂(にぎみたま)と言います。大国主命の和魂である大物主命が鎮まって三輪山は神の山となりました。大神神社が日本最古の社であるゆえんです。

三輪山を望み、大物主さまの幸魂奇魂を仰ぐと、人に幸せを分かち人の世に尽くすことのできる自分自身の内なる力にも気づくことができるでしょう。

三輪山は、私たちの「いのちのみなもと、たましいのふるさと」です。

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