大阪大学・台湾の学生さんたちと、三輪のこれからを考える

― まちを歩き、地域とともに学ぶフィールドワーク ―

2026年7月15日、大阪大学大学院工学研究科・周純甄(Zhou Chun-Chen)研究室の皆さんが、三輪を訪ねてくださいました。

参加されたのは、大学院生、台湾からの学生・実習生、教員の皆さん、合わせて33人。三輪からは、さこすて®みわの武部、下出、小関の3人でお迎えしました。

今回は、まず実際に三輪のまちを歩き、その後、三輪惠比須神社の社務所で、地域で進めているまちづくりについて紹介し、皆さんと意見交換を行いました。

三輪のまちを歩く

フィールドワークは三輪駅から出発しました。
大神神社、参道、一の鳥居、そして上街道沿いのまちなかへ。
名所を順番に案内する観光まち歩きではありません。

今ある三輪のまちは、どのようにしてできたのか。

徒歩交通の時代から鉄道交通へ、そしてモータリゼーションへ。交通手段が変わるたびに人の流れが変わり、それに伴って、まちの構造も変化してきました。実際のまちを歩きながら、その歴史をたどるとともに、現在の三輪が抱えている課題と、それに対して地域でどのような取り組みを始めているのかを見ていただきました。

人の流れから取り残されたから、残ったもの

現在の三輪のまちなかには、交通体系の変化によって、人の流れから取り残されてしまった一面があります。
しかし、それを別の方向から見てみると、違った姿が見えてきます。駅周辺には、昭和の面影を残す懐かしい雰囲気がある。上街道沿いには、徒歩交通の時代から続く歴史ある町並みが残っている。
つまり、人の流れから取り残されたことによって、かえって残ったものがあるのです。私たちは、そうした埋もれている三輪の魅力を生かしながら、まちなかへの回遊を生み出すことを目指して、小さなリノベーションや地域活動を積み重ねています。

「駅」を交通拠点から交流拠点へ

まちを歩いた後は、三輪惠比須神社の社務所へ移動し、地域で進めている取り組みを紹介しました。

三輪まちづくり法人株式会社リアライズの下出貴史さんからは、「全国のローカルな駅まちづくりを体系的に進めるひな形づくり」について。
三輪の歴史・文化資源を生かしながら、地域や民間が交流促進、情報発信、イベント、地域資源を活用した事業などのソフト面を担い、行政が参道や道路などのハード整備を担うという、官民の役割分担について説明しました。

続いて、さこすて®の武部俊寛さんからは、「『駅』を交通拠点から交流拠点へ。モノづくり主導からコトづくり主導へ」という考え方を紹介。
2022年から始まった三輪駅地域作戦会議、2024年から継続している三輪駅縁結び広場をはじめ、地域、事業者、鉄道事業者、研究者など、さまざまな人が関わる取り組みへ発展してきたことをお話ししました。そして将来は、地域主体の駅まちづくりの仕組みを、三輪から全国へ展開できるモデルとして構築することを目指しています。

予定時間を超えて続いた対話

取組紹介の後は、学生の皆さんとの質疑応答・意見交換です。これが、予定していた時間を大きく超えるほど活発なものになりました。

周先生からは、「まち歩きでの説明によって、三輪のまちが抱える課題をよく理解できる、大変良いフィールドワークでした」との講評をいただきました。

こちらから学生の皆さんに、「三輪のまちを歩いて、どのような印象を持ちましたか」と尋ねてみると、多くの手が挙がりました。
昭和の雰囲気が残る町並み、積み重なってきた歴史の重み、そして地域の人々が行っている活動。
外から三輪を訪れた皆さんから、それぞれの視点で感じたことを聞かせていただきました。私たちにとって当たり前になっている風景も、外から来た人の目を通して見ることで、改めてその価値に気づくことがあります。視察を受け入れることは、三輪について知ってもらうだけではなく、私たち自身が三輪を見つめ直す機会にもなるのだと思います。

三輪に合った、持続可能なまちづくりとは

学生の皆さんからは、三輪の将来像についても質問がありました。
そこでお話ししたのが、「人口約5,000人、半径約500メートルという三輪の規模に合った持続可能なまちづくり」です。
大規模なスクラップ・アンド・ビルドによって、まちを一度壊して新しいものに置き換えるのではない。
小さなリノベーションを一つずつ積み重ねながら、三輪らしい景観や暮らしを守る。
地域の中で経済が回る仕組みを育てる。
小規模でも新しい商いを始める人が現れる。
そして、子育て世代が三輪で暮らし続けられる。
そんなまちを目指しています。

その将来像を考えるとき、一つの具体的な目標としてお話ししたのが、
「三輪小学校が各学年2学級を維持できる地域であり続けること」
でした。
人口を何人増やすとか、観光客を何万人呼ぶとか、大きな施設を造るとか。そうした数字だけではなく、このまちで子どもたちが育ち、学校があり、商いがあり、暮らしが続いていく。それが、三輪という小さなまちにとっての「持続可能」ということなのだと思います。

最後は、三輪の神さまへ

一日の最後は、三輪惠比須神社で正式参拝も体験していただきました。
まちの歴史を歩いて知り、現在のまちづくりについて話を聞き、地域の人と意見を交わし、最後にこの土地で受け継がれてきた信仰にも触れる。
三輪の歴史・文化・まちづくりを、いろいろな角度から感じてもらう一日になりました。

まちを案内することは、まちを学び直すこと

今回は、日本語と台湾華語(中国語)の通訳を交えながらのフィールドワークとなりました。予定していた時間を超える場面もありましたが、それだけ皆さんの関心も高く、活発な意見交換ができました。
そして、参加者の皆さんとの対話を通して、私たち自身も、三輪が抱える課題や、このまちが持っている魅力を、さまざまな角度から捉え直すことができました。

まちを案内することは、自分たちのまちを学び直すことでもある。

三輪に暮らす人と、外から三輪を訪れる人。教える側と教わる側を固定するのではなく、一緒にまちを歩き、それぞれが見つけたものを持ち寄りながら、三輪のこれからを考える。そんなフィールドワークを、これからも続けていければと思います。

原報告書の最後にも、

今後も「さこすて®みわ」では、現場を歩き、地域と参加者がともに学び合いながら、未来のまちづくりを考えるフィールドワークを続けていきたい。

と記しました。今回の視察は、その「ともに学び合う」ということを実感できた一日でした。


記録

大阪大学大学院工学研究科・周(Zhou)研究室 三輪視察
日時:2026年7月15日(水)13:00~16:30
場所:三輪駅まちなかエリア・三輪惠比須神社社務所
参加:33人(大学院生、台湾からの学生・実習生、教員)
受入:さこすて®みわ 武部俊寛・下出貴史・小関吉浩

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