― 地域とともに進める、持続的な駅まちづくり ―
2026年7月5日、日本都市計画学会関西支部の2026年度第1回フィールドワークとして、三輪のまちづくりを視察していただきました。参加されたのは一般参加13人、学会事務局9人の皆さん。三輪からは、さこすて®みわの武部、下出、小関の3人でお迎えしました。三輪惠比須神社の社務所で取り組みを紹介した後、実際に三輪のまちを歩きました。
これまでも三輪には、大学や研究者、まちづくり関係者など、さまざまな方が視察に来てくださっています。
今回、一つ新しい試みを始めました。
地域活動を継続可能なものにしていくため、外部からの視察受け入れを有料化しました。
地域で積み重ねてきた経験や知恵、そして三輪というまちそのものにも価値がある。それを一方的に「見てもらう」のではなく、地域と訪れる人がお互いに学び合う機会として育てていければと考えています。
三輪で進めている「駅まちづくり」
まず三輪惠比須神社の社務所で、三輪まちづくり法人株式会社リアライズの下出貴史さんと、さこすて®の武部俊寛さんから、これまでの取り組みを紹介しました。
下出さんからは、「全国のローカルな駅まちづくりを体系的に進めるひな形づくり」をテーマに、三輪が持つ歴史・文化資源を生かした持続可能なまちづくりについて紹介。
2010年から進めてきた官民連携の取り組みの中で、地域や民間が交流促進、情報発信、イベント、地域資源を活用した事業などのソフト面を担い、行政が参道や道路などのハード整備を担うという役割分担について説明しました。
続いて武部さんからは、「『駅』を交通拠点から交流拠点へ。モノづくり主導からコトづくり主導へ」という考え方を紹介しました。
利用者の減少や駅の無人化が進むなか、駅を単に電車に乗り降りする場所としてではなく、地域の人が出会い、交流する場所として使っていく。2022年から三輪駅地域作戦会議を始め、2024年からは三輪駅縁結び広場を継続して開催してきました。そこから地域、事業者、鉄道事業者、研究者など、さまざまな人とのつながりが生まれています。将来は、こうした地域主体の駅まちづくりの仕組みを、三輪から全国へ展開できるモデルにしていくことを目指しています。

三輪のまちを歩く
取組紹介の後は、こと源の大将が案内役となって、皆さんと三輪のまちを歩きました。
ただ名所を巡る観光案内ではありません。今ある三輪のまちが、なぜこのような形になったのか。その成り立ちを交通の歴史から読み解きながら、現在の課題と、それに対して地域で始めている取り組みを見ていただくフィールドワークです。
徒歩のまちから、鉄道のまちへ
もともと三輪は、徒歩交通の時代、上街道沿いに市場町・門前町・宿場町として形成されました。
市場の神さまである三輪惠比須神社も、正面を上街道に向けて鎮座しています。
ところが明治末期に鉄道が開通して三輪駅ができると、人の流れが変わります。
大正から昭和初期にかけて、駅から大神神社参道へ続く商店街が形成され、まちの商業の中心も、上街道沿いから駅周辺へと移っていきました。
そして、自動車の時代へ
さらに昭和40年代前半、モータリゼーションの進展によって大神神社参道(松の馬場)に沿って2車線の県道が整備されます。その後、平成期には参道沿いに大神神社の駐車場が整備され、来訪者の動線は駅前商店街から参道周辺へと大きく変化しました。
つまり三輪のまちは、
徒歩交通
↓
鉄道交通
↓
自動車交通
という交通手段の変化によって、人の流れと商業の中心を大きく変えてきたことになります。
そして、この都市構造の変化が、現在の三輪に二つの大きな課題を生みました。
一つは、人の流れから外れた駅前商店街周辺で、空き店舗・空き家・空き地が増えていること。
もう一つは、自動車で訪れる人が増え、駐車場や道路容量を超えてしまうことによる混雑・渋滞です。
一方では人が来なくなって困っている場所があり、そのすぐそばでは、人や車が集中しすぎて困っている。三輪の現在のまちの姿は、こうして見ると、とてもよく理解できます。
「まちなか」へ人の流れを取り戻す
しかし、人の流れから取り残されたからこそ残ったものもあります。
駅周辺には昭和レトロな雰囲気があり、上街道沿いには徒歩交通の時代から続く歴史的な町並みがあります。
こうした三輪がもともと持っている地域資源をもう一度見つけ直し、公共交通で訪れる人を増やすとともに、大神神社と駐車場を往復するだけになっている人の流れを「まちなか」へ広げていく。そして、歩く、食べる、体験する、泊まるという行動につなげ、滞在時間を延ばすことで、地域の中に経済の循環をつくっていく。
それが、現在進めている取り組みです。
小さな実験を積み重ねる
現在、さこすて®みわを中心に、
三輪まちなかつば市、毎月開催している三輪駅縁結び広場、うま酒三輪ほろ酔い巡り、三輪文学まち歩きスタンプラリー、三輪栄町かえしば、三輪ゆるボラネットなど、さまざまな実証的な取り組みを進めています。
一つ一つを見ると、小さな取り組みです。しかし、それぞれがばらばらに存在しているのではありません。
人が歩く。
人と人が出会う。
空いていた場所が使われる。
新しい商いが生まれる。
まちに滞在する時間が延びる。
そんな小さな変化を少しずつ重ねながら、三輪本来の魅力を生かし、人が歩き、滞在し、そして暮らし続けられるまちをつくる。そのための実験を、三輪というまちを舞台に続けています。
今回のフィールドワークも、三輪のまちを外から来られた皆さんに見ていただくだけのものではありません。三輪について説明するために自分たちの取り組みを振り返り、外からの視点や問いを受けることで、私たち自身も三輪というまちを見つめ直す機会になります。
まちを歩き、まちから学び、また次の一手を考える。
そんな学び合いの場として、これからも三輪でのフィールドワークを育てていければと思います。
記録
日本都市計画学会関西支部 2026年度第1回フィールドワーク
日時:2026年7月5日(日)11:30~13:30
場所:三輪惠比須神社社務所・三輪駅まちなかエリア
参加:一般13人、事務局9人
受入:さこすて®みわ 武部俊寛・下出貴史・小関吉浩


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