毎年7月の末、三輪では「おんぱら祭」がおこなわれ、花火大会に多くの人がおとずれます。このお祭りはただ夏の楽しみというだけではなく、古くから続く「夏越の祓」の神事に由来するものです。
「おんぱら祭」がおこなわれる綱越(つなこし)神社は、馬場先の大鳥居の南側にあり、「おんぱらさん」と呼ばれて親しまれています。人々の「つみけがれ」をはらう祓戸(はらへど)の神(瀬織津比売・速開都比売・気吹戸主・速佐須良比売)をおまつりし、1000年あまり前から信仰を集めてきました。
人は、日々のくらしの中で知らず知らずのうちに体に無理をかけたり、また、人の心をきずつけたり、逆に自分の心の中にわだかまりをかかえこんだりするものです。このようなつみけがれをはらいきよめ、身も心もすこやかで前向きに過ごせるようにと願いをこめておこなわれるのが「夏越の祓」です。
おまいりではまず、「水無月の夏越の祓する人は千歳の命延ぶといふなり」ととなえながら茅の輪をくぐって体を清めます。そして紙の人形(ひとがた)で体をなで、息を吹きかけて心と体にたまったつみけがれを移し、神社におさめていのります。

神事では「大祓詞(おおはらへことば)」が読み上げられる中、ご神馬(しんめ)がお社のまわりを3周します。馬は大変に耳のよい生き物なので、大祓詞が神々にとどいて、はらいきよめがなされたかどうかを占うというゆかしいならわしです。
集まった人形は三輪大橋へ運んで初瀬川に流されます。そうすると、あらゆるつみけがれは、川から大海原へ流れ、海の底から地の底へと吹き放たれて、すっかり消えてなくなると信じられています。このような古くからのわたしたちの考えは、今も「水に流す」ということばとして生きています。
おんぱら祭の2日間、にぎやかな盆踊りと夜店のあかりが三輪の町を照らし、人々は夏の夜空をいろどる花火や名物の冷やそうめんを楽しみます。かつては、町ごとに「立山」と呼ばれるかざり物をきそい合う風習もありました。こうして、人々は新たなすがすがしい心で、暑い夏をのりこえる気持ちを整えるのです。


コメント