「うま酒三輪ほろ酔い巡り」は、三輪の飲食店を巡りながら、酒と食とまち歩きを楽しむ昼呑み企画です。
期間中、参加する飲食店がそれぞれ趣向を凝らした「ほろ酔いセット」を用意します。参加者は地図を片手にまちを歩き、気になる店に立ち寄って一杯。また歩いて、次の店へ。
とても単純な仕掛けです。
しかし、この小さな仕掛けには、いくつものねらいがあります。
「うま酒のまち三輪」を育てる
三輪は、古くから酒と深い縁をもつまちです。
『日本書紀』には、崇神天皇の御代、高橋活日命が大物主大神に捧げる神酒を醸し、
この神酒は我が神酒ならず
倭成す大物主の醸みし神酒 幾久幾久
と歌ったことが記されています。
三輪には酒造りの神を祀る大神神社があり、「味酒(うまさけ)」は三輪にかかる枕詞でもあります。
こうした歴史を、ただ昔の物語として語るだけではなく、実際に三輪のまちで酒を味わい、食を楽しむ体験につなげる。
「うま酒のまち三輪」を、暮らしと商いの中で育てていくことが、ほろ酔い巡りの大きな目的です。
参拝のあと、まちで「直会」を
神さまにお供えしたものを、人もいただく。祭りや神事のあと、神さまと人、人と人とが酒食をともにする「直会」は、日本の祭りや信仰に根づいた文化です。
三輪を訪れる人にも、参拝してそのまま帰るのではなく、まちへ出て一杯楽しんでもらいたい。
春の「いくひさ乾杯まつり」、夏の「夏越酒まつり」、秋の「新酒まつり」、冬の「惠美酒まつり」。
三輪の祭りや季節と酒を結びながら、参拝のあとにまちで楽しむ新しい「直会」の文化を育てていきます。
まち全体を会場にする
ほろ酔い巡りには、大きな特設会場はありません。それぞれの飲食店が、それぞれの店で普段の営業をしながら参加します。
参加者は店から店へ歩きます。その途中で、路地を通り、店先を眺め、知らなかった場所を見つけ、人と出会います。
つまり、会場は三輪のまちそのものです。一か所に人を集めて賑わいをつくるのではなく、人がまちを歩くことによって、あちこちに小さな賑わいを生み出す。
「まちを遊ぶ」「まちづくりからまちづかいへ」
ほろ酔い巡りは、そんな考え方を実際のまちで試す仕掛けでもあります。
小さな店が無理なく参加できる仕組みに
地域の催しを長く続けるためには、参加する人に大きな負担をかけないことも大切です。
ほろ酔い巡りでは、大掛かりな出店設備を用意する必要はありません。それぞれの店が通常営業の中に「ほろ酔いセット」を一つ加える。営業時間や休業日も、それぞれの店が決める。
そして、参加店とメニューを一枚の「ほろ酔い地図」でつなぎ、みんなで発信する。できるだけ小さな労力と費用で、地域全体として大きな効果を生み出すことを目指しています。
酒と食から、人と店をつなぐ
一軒の店だけではできないことも、何軒かの店がつながればできます。
ほろ酔い巡りを繰り返すことで、飲食店同士の顔が見えるようになり、一緒にまちを盛り上げる関係が少しずつ育っていきます。
地元の酒や食材が使われれば、生産者や酒蔵とのつながりも生まれます。
宿泊施設とつながれば、三輪に泊まり、ゆっくり酒を楽しむ人も増えるでしょう。
新しく店を始める人や若い世代が加われば、また新しい楽しみ方が生まれます。
人のつながりは、まちの財産です。
ほろ酔い巡りは、酒と食を楽しむ催しであると同時に、そんなつながりを少しずつ増やしていく仕掛けでもあります。
歩いて楽しめるまちへ
昼から三輪で一杯飲めば、当然、自動車では帰れません。
だからこそ、鉄道やバスで三輪を訪れ、歩いてまちを巡るという楽しみ方につながります。
公共交通の利用が増えれば、その維持にも小さく貢献できます。
参拝して帰るだけではなく、食べる、飲む、歩く、泊まる。三輪で過ごす時間が少し長くなれば、その効果は飲食店だけでなく、商店や宿泊施設など、まちのさまざまな場所へ広がっていきます。
小さな実験から、三輪の文化へ
ほろ酔い巡りは、もともと「三輪まちなかつば市」の中で始めた小さな実験でした。
一度やって終わるイベントではなく、季節を変えて繰り返してみる。
店が参加しやすい方法を考える。
訪れる人の反応を見ながら、少しずつ仕組みを変えていく。
そうして実験を重ねるうちに、現在では春・夏・秋・冬、年4回開催する企画へと育ってきました。
目指しているのは、イベントを大きくすることではありません。
三輪に行けば、お参りのあとに一杯飲める。
季節ごとに酒と食を楽しみながら、まちを歩ける。
店の人や、隣り合わせた人と話ができる。
そんな楽しみ方が、いつしか特別なイベントではなく、三輪の日常の文化になっていくこと。
それが、「うま酒三輪ほろ酔い巡り」が目指しているものです。


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