白玉屋創業店のばったり床几

三輪の暮らし博物誌
白玉屋榮壽創業店のばったり床几

三輪の中町、上街道沿いに白玉屋榮壽の創業店があります。弘化元年(1844年)の創業以来の建物です。

その店先に、今も「ばったり床几(しょうぎ)」が残っています。
ばったり床几は、町家の軒先などに取り付けられた折り畳み式の台です。使うときには手前に倒し、使わないときには壁際に畳んでおく。腰掛けにもなれば、商いの品を並べる台にもなりました。

白玉屋の社長によれば、このばったり床几が残っていることも、白玉屋が上街道を行き交う旅人を相手に商売をしていた証しなのだそうです。以前、「みむろ」のお話をうかがったとき、社長はこんなことをおっしゃっていました。

江戸時代、近在でできるもち米と小豆を使い、旅の客に食べてもらうお菓子として始まったんだろうと思います。だから、気楽に手づかみで食べる普段のお菓子なんです。

なるほど。
店の前には上街道が通っています。大神神社へ参る人、長谷寺へ向かう人、さらに伊勢へと旅する人。いろんな人が、この店の前を行き来しました。
その街道に向かって、ばったり床几を開く。そこに菓子を並べたのかもしれません。旅人がわらじのままちょっと腰を掛けたのかもしれません。そして、近在で穫れたもち米と小豆から作った菓子を、手づかみで食べて、また街道を歩いていく。
「みむろ」というお菓子の成り立ちと、創業店に残るばったり床几とを重ねてみると、そんな三輪の商いの風景が見えてきます。

古い建物が残っているというだけではありません。店のつくりを見ると、ここでどんな商いが行われ、どんな人が行き交っていたのかが分かる。
白玉屋創業店のばったり床几は、上街道が三輪の人と物を運んでいた時代を、今に伝えています。

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