おついたち、惠比須さんまでバスが来る

ALWAYS三輪の夕日

毎月一日、大神神社のお朔日参りの日には、桜井駅北口から三輪惠比須神社まで臨時バスが走ります。
終点は大神神社ではありません。三輪惠比須神社です。バスは上街道から惠比須神社の境内へ入り、社殿の前で参拝客を降ろします。ここから大神神社までは歩いてお参りします。
この臨時バスは、私が子どものころにはすでに走っていました。少なくとも60年以上は続いている、三輪のおついたちの風景です。

昔は上街道を定期バスが走っていた

かつては、三輪のまちなかを奈良交通の定期路線バスが走っていました。
私が覚えている経路は、
桜井駅南口―北本町―粟殿―出口橋―三輪惠比須神社前―三輪駅―三輪明神参道口。
桜井駅北口ができてからは、北口発着になりました。

「三輪惠比須神社前」というバス停は、今のお朔日バスのように神社の境内に入るのではなく、上街道の「市場えびすの辻」にありました。「三輪駅」というバス停も、三輪駅前にあったわけではありません。駅から西へ、駅前通りを三ブロックほど行った上街道にありました。駅へ行くには、そこでバスを降りて駅前通りを歩きました。
その定期路線は、その後廃止されました。ところが、おついたちになると、今もバスが昔と同じように旧道を走って三輪へやって来ます。

なぜ三輪駅ではなく惠比須神社なのか

三輪惠比須神社とJR三輪駅は、歩いても2分ほどです。それなら、桜井駅から来たバスを三輪駅まで入れればよさそうなものですが、三輪のまちの道を知っていると、そう簡単ではないことが分かります。
三輪のまちなかは道が狭く、大きなバスが通れる道は、南北に通る上街道と、そこから三輪駅へ向かう駅前通りくらいです。上街道を北から来たバスが三輪駅へ向かうには、市場えびすの辻を通り過ぎ、桶屋の辻まで北へ行って、そこで右に曲がって駅前通りを進まなければなりません。
しかも駅前広場は狭い。お朔日には大勢の参拝客が三輪駅から降りてきます。その中でバスを回旋させ、また同じ駅前通りを戻ってくることになります。
それなら、上街道からそのまま入ることができ、バスが転回できる広さもある惠比須神社の境内を発着場所にする方が都合がいい。惠比須神社から大神神社へ向かう福の神の辻までは、三輪駅から行くのとほとんど変わりません。三輪のまちの道と、人の流れを考えれば、なるほどよくできた場所なのです。

おついたちだけ、昔の道にバスが帰ってくる

私の記憶では、昔はお朔日参りの臨時バスが走る日は、旧道を走る定期バスはお休みになり、臨時バスは惠比須神社止まりになっていました。
お正月ともなると、国道は初詣の車で大渋滞になります。一方、三輪の旧道は交通規制が行われ、許可証を持つ地元の車と臨時バスが走ります。
時代が変わり、上街道を毎日走っていた定期バスはなくなりました。それでも毎月一日になると、桜井駅からバスがやって来ます。

上街道を走り、市場えびすの辻を通り、惠比須さんの境内へ。月に一度だけ、昔からの三輪のバスの風景が帰ってきます。

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