万直し旅館の大将が巳ぃさんを見た話

大神神社の境内に、「巳の神杉」と呼ばれる大きな杉の木があります。
根元には大きなうろ(穴)があり、そこには巳ぃさんが棲んでいると言われています。今でも、お神酒や生卵をお供えする人が絶えません。

先日、福づつみで酒を飲んでいたとき、万直し旅館の大将から、こんな話を聞きました。

大将は昔、巳の神杉のうろから出てきた巳ぃさんを、実際に見たことがあるそうです。
今は神杉の周りに柵が設けられていますが、昔はうろのすぐそばまで行って、卵をお供えすることができました。
あるとき、大将が見ていると、うろの中から一匹の青大将が出てきました。青大将は、お供えしてあった生卵のところまでやって来ると、裂けるように大きく口を開け、卵を丸ごと呑み込んだそうです。呑み込まれた卵は、青大将の胸から腹へ、その形がわかるほどだったといいます。

ところが、そのあと青大将は卵を腹に入れたまま、巳の神杉をするすると登り始めました。そして、ある程度の高さまで登ったところから、地面へそのまま落下。その衝撃で、腹の中の卵を割ったのだそうです。

「ほんまに見てんで」
大将は、そんなふうに話してくれました。

巳の神杉に棲むという巳ぃさん。昔は巳の神杉のうろのすぐそばに卵を供え、その卵を食べに巳ぃさんが姿を現す。そんな光景があったのでしょう。

福づつみで酒を飲んでいると、ときどき、こんな昔の三輪が顔を出します。

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