秦河勝の伝説

林 羅山(はやしらざん、1583年 – 1657年)

「本朝神社考」

秦河勝は人王三十代欽明天皇の御宇に化生せる者なり。天皇一夕夢みたまふ神童有りて言して曰く、我は是れ秦始皇の後身なり。縁有るを以て日域に出づ請ふ臣たらんと。時に大和州に洪水の変あり。初瀬川大いに漲り、大甕ありて流れ来たりて三輪明神の広前に止る。土人之を開いて視るに即ち一の男子あり。身体玉の如し。土人之を奏す。天皇の曰く、夢に見る所の者は此の人なり。之を挙げ養ひて姓を賜ふて曰く、秦氏と。

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