常若の思想、蘇りの思想
伊勢神宮は20年ごとに神様の住まわれる神殿を新しく作り替える式年遷宮で知られます。
出雲大社は60年ごとにお社を修造し、これを大遷宮と呼んでいます。
神のお住まいになるお社を木で造り、常に清浄を保つように時を定めて作り替えることで、神の力が新たになると考えるのです。
私たちはこれら遷宮の営みを通して、神宮で言う「常若の思想」、大社で言う「蘇りの思想」を深く感じ味わうことができます。
三輪山の森
「常磐の緑」と称えられる三輪山。
この写真は県立図書情報館から拝借した昭和56年の写真。鯉のぼりが揚がっているので5月です。
昭和のころには常磐の緑の言葉通りに深い緑を湛えていました。
こちらの写真は今年(令和4年)5月の三輪山。
令和の写真は新緑のモザイクになっています。
どうしてこのような変化が起こったのでしょうか?
わたくしの推測では、原因は平成10年の台風7号。室生寺五重塔が倒れたあの台風です。
あのとき、三輪山の木々も相当なぎ倒されました。人が入らず、極相の森林だったところへ、倒れた木の隙間から林床に日光が差し込み、芽を出した新しい落葉樹が20数年かけて成長したのではないでしょうか。
わたくしの推測が正しければ、三輪山が変化したのは森が天然更新しているから。
命のみなもと 魂のふるさと
大物主大神のゐますは建物ではなくお山。
だから、大神神社には神さまがお住まいになる神殿がありません。伊勢神宮の式年遷宮や出雲大社の大遷宮のように神殿を新しく作り替えることもありません。
命のみなもと、魂のふるさとであるお山は、長い年月をかけて天然更新により蘇り、常若を保っています。
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